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【名無しの鬼女】 さんありがとうございます!

[投稿日時] 2016年03月26日 12:31
■体験談

この前母方の従姉が亡くなり葬式に行ってきたのだが、そこで従姉の壮絶な人生を知った。
従姉(母の兄の娘)は私とはかなり歳が離れていて、殆ど交流が無かったのだが、私が子供の頃に伯父の家に行くと従姉はいつもお茶とか生け花とかしていて、漫画でよく見るような深窓の令嬢みたいな人だったと記憶している(実際美人だったし)
その従姉は一生独身のまま亡くなった。精進落しの時に母や親戚達から従姉一家の話を聞いた。






伯父(従姉の父)が物凄く厳格な人で、一人娘の従姉を完全に箱入り娘として育てた。幼稚園から大学まで女子校に通わせ、碌に遊びに行かせず習い事ばかりさせていた(これは私も知ってる)当然男なぞ近づく事は一切許さず、叔父や従兄弟でさえ従姉には殆ど会わせなかった。
伯母(従姉の母)は従姉が幼い頃に教育方針の違いとか性格の不一致にとかで離婚されて追い出された(私は亡くなったと勘違いしていた)家事は祖母がしていたが、従姉が高校生の時亡くなりそれからは従姉が家事の全てをする事に。大学卒業後も就職させずずっと家に縛り付けていた。
母や叔母がこれでは従姉が可哀相だと何度も意見したが、伯父は「人の家の事に口出すな!」で終わり。従姉に家を出ては?と言っても「いいんです」と断られる。従姉本人に構わないでくださいと言われては流石に母や伯母達はこれ以上何も言えず。
でも伯父は娘を結婚させる気ではあったらしく、見合い話を何度も持ち込んだそうだが、男慣れしてない従姉は見合いの席では一言も発せず相手とは目も会わさない。相手からは美人だけど流石にこれでは…と断られ続け遂に結婚する機会を失ってしまった。十数年前に伯父が亡くなった後は家で一人ひっそりと暮らし(伯父は資産家だったので多分遺産で暮らしてた)独り身のまま生を終えた。    
…と、ここまでは母と叔母達の話。

母たちの話を受けて、亡従姉と唯一交流があった従姉(母の弟の子。亡従姉の3つ下で大学の後輩でもある。ややこしくて済みません。以下A)が補足。

同じ大学になった事で従姉とAが仲良くなり、Aといろいろ話をするようになった。その頃の従姉は、授業が終われば食材等の買い物以外の寄り道もせず、家に帰って家事をする毎日。部活動も許されずお茶、ましてやコンパなんてもっての外。それを聞いたA「それってちょっとおかしくない?」と従姉に言った。従姉もお嬢様大学とは言え中高より自由な雰囲気とクラスメイトの行動から自分の境遇に疑問を持ち始めていたらしい。
しかし幼い頃から父親に完全にスポイルされ、従姉は父親には一切逆らうことが出来ない。それでAが伯父に直談判したら「娘をかどわかすな!」と叩かれた。気の強いAが「何でそこまでして娘を押さえつけるの!自分は昔散々女と遊んでたくせに!(結婚前の伯父の女癖の悪さは親族内でも特に有名)」と言い返した。
その事を知らなかった従姉はショック。父である伯父を品行方正な絶対神と思っていたのに、実は女癖が悪い男だったと知ってしまった。しかもその後伯父が愛人数人囲ってた事が従姉にばれた(愛人の一人が従姉と接触したらしい)事で従姉の心の何かが切れたらしい。表向きは伯父に仕えながらも心の奥底では復讐を考えていた。
伯父は「跡継ぎを~」と見合い話を持ち込むが、先にも書いた通り従姉は断られ続ける。従姉は男慣れしてないからでは無く、わざと相手男性を無視していた。伯父は何とか見合い成立させようと焦るが、向こうから断られるからどうしようもない。とうとう従姉も30を超え、もうまともな話は来なくなり伯父は諦めた。

その後伯父は病に倒れ、愛人達にも見捨てられた。最期に伯父が恨みがましく従姉に「お前が孫を産んでくれれば…」と愚痴った。従姉は「あんたの血は私で絶やしてやる。アンタが長年掛けて集めたコレクション(絵画や骨とう品)も私がシんだ時私の名でどっかに寄付してやる。アンタが生きた痕跡なんぞ墓以外残してやるものか」と言い放ったそうだ。
伯父亡き後Aが「もう父親はいないんだから今後の自分の幸せ考えたら?」と言ったら、従姉は「もう私は充分幸せよ」と返したそうだ。
そしてAとたまに連絡する以外全く余所とは関わる事無く従姉は一生を終えた。伯父のコレクションは全部どこかに寄付するよう全て手続きしてあったそうだ(細かい事は私はよく知らない)
何でその事黙ってたの!と叔母達にAは責められたが、Aは従姉に口止めされてた、誰かに言ったら家に火を付けてシんでやる!と真顔で言うから言うに言えなかったそうだ。
従姉が住んでた家は、広い一軒家だったが従姉の生活空間以外は殆ど手入れされずかなり傷んでいた。「親父が建てた家が朽ちて行くのを見るのが快感」だったそうだ。病んでたんだな。遺言通り更地にして土地は寄付されるらしい。確かに伯父の痕跡は我々の僅かな記憶と墓以外残らない。従姉の復讐はなされた訳だ。父親にスポイルされ裏切られて復讐心だけで生きて来て…従姉の人生って何だったんだろう。


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